CARIES
う蝕とは脱灰と再石灰化の間を揺れ動く流動的なプロセスである。-A.scheinin
虫歯(う蝕)は、プラーク中の細菌(ミュータンス菌、ラクトバチラス菌など)の感染によって起こります。飲食した食べ物から栄養を取り、酸を作ります。この酸によって歯が溶かされてしまった状態が虫歯です。
虫歯は、原因菌である虫歯菌(ミュータンス菌)の感染によって起こります。生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には虫歯菌は存在しません。例えば、母親や、周囲の大人が口移しで食べさせたり、同じスプーンや箸を使うことによって、唾液を通じて感染し、そのまま子供の口の中に菌が棲みつきます。
母親の虫歯菌が多いと、子供の虫歯菌の数も多く、虫歯になるリスクが二倍以上高いというデータもあります。
Dental caries treatment at our clinic
当院では、Minimal Intervention Dentistry (ミニマルインターベーションデンティストリー) に基づいた治療法を
ご提案させて頂いております。
虫歯の治療に対してどれだけ歯を削らないで済むかという考え方です。
2002年にFDI (国際歯科連盟) によって提唱された後、2016年に見直しが行われた虫歯治療法の新しい概念です。
その基本的な考え方は以下の6項目になります。
Tooth decay treatment
一般的に虫歯は、見た目や風をかけたり、軽く叩いて刺激を与えたりした際の反応で診断しますが、当院では医療機器による客観的な診断を行います。歯にレーザーの光をあてて、虫歯の状態を数値化するダイアグノデントペン (光学式虫歯検出装置) という装置を使用して診断します。
痛みは全く伴わないので、小児や妊娠中の方にも安心して使用することができ、触診や視診よりも正確に初期の虫歯を探知する事ができるので、定期的な使用が初期虫歯を管理に繋がります。
歯は一度削ってしまうと元に戻すことはできません。
その一方で、エナメル質の表面は唾液の成分などで細かい傷や目には見えないような穴を修復する再石灰化という能力を持っています。
つまり初期虫歯(CO)や小さな虫歯(C1)は、再石灰化という機能によって修復できる可能性を秘めているわけです。
このような場合にダイアグノデントペンを使用すれば治療をすべきか否かの判断材料になり、無駄に歯を削ってしまうリスクを回避することができます。
また、経過観察と診断した歯も定期的にダイアグノデントで数値の測定を行えば、万が一虫歯が進行しても早い段階で治療を行うことが可能になります。
虫歯の構造は細菌感染が著しい、う蝕象牙質第1層(外層)と細菌感染がわずかで再石灰化可能なう蝕第2層(内層)からなっています。
この第2層は保存し、第1層のみを取り除くことにより歯に与えるダメ-ジを最小限にすることができます。
見た目ではこれらをはっきりと区別することが難しい為、当医院では「カリエスチェック」という虫歯検知液を使用しています。
この薬剤は第1層のみを染色するようになっています。再石灰化可能なう蝕象牙質第2層を残し、染色された本当に悪い部分だけを削るため、削る部分を最小限に抑えることができます。
「できるだけ健全な歯質を残す」というMIの考えをベースに生まれたミニマム窩洞形成用のバーセットです。
実際に削る先の頭の部分を可能な限り小さくし、またネック部分が細くなっているため、小さな溝の虫歯や壷状の虫歯に対して、削るときの自由度が増し、最小限の削除量になるようになっています。
Caries Flow
歯の表面が白く濁り、透明感がない状態の要観察の歯です。
歯に付着している歯垢(プラーク)や汚れを除去して、
フッ素化合物を塗布して歯の再石灰化を促します。
歯の表面のエナメル質が溶け始めた段階の虫歯です。
痛みがなく、ついつい放っておきがちです。
虫歯の部分だけを正確に治療し合成樹脂(レジン)を充填します。
エナメル質の内側の象牙質に虫歯が達したものです。
象牙質はエナメル質により軟らかい組織なので、虫歯の進みかたが速くなります。
C1と同様に合成樹脂(レジン)を充填するか、
範囲が大きい場合は削ったあとに歯型を取り、
金属やセラミックの詰め物(インレー)を作り、欠損部を修復します。
象牙質の内側の歯髄にまで虫歯が達したものです。
この段階では、歯髄に細菌が進入し激しい痛みを伴うことがあります。
歯髄の炎症が重度な場合は、歯髄組織を除去したあとで、
根管内を消毒し、シーリング材を用いて充填します。
また、歯髄が死んでしまった歯はもろくなりますので、
クラウンなどの被せ物をします。
症例によっては、特殊な抗生物質を用いて
歯髄を保存する処置を行う場合もあります。
歯冠が溶けて無くなり、根の部分だけが残っている状態です。
C3の場合と同様に治療し被せ物をするか、
やむを得ない場合は残った歯根部を抜歯します。
抜歯した部分は傷が治った後に、
ブリッジ・部分入れ歯・インプラントなどの方法で補うことになります。
Treatment
注射の針が刺さる痛みを和らげるために使用するもので、歯肉の表面にだけ麻酔することが可能です。
ジェルタイプとシートタイプのものがあります。
麻酔薬を体温の温度に保温する機器です。
麻酔液の温度が、体温に近いほど歯肉に麻酔薬が入るときの痛みを和らげることができます。
麻酔薬を体内に注入するときに一定のスピードで注入すると患者様の感じる痛みを軽減できます。
当院では35Gの注射針を使用しております。
笑気ガスを使用した笑気麻酔鎮静法は、歯科治療においての恐怖心・ストレスなどの精神的苦痛や痛みの緩和に役立ちます。
歯科治療での苦痛や恐怖心を強くお持ちの方や、嘔吐反射のある方、小さなお子様など、歯科治療をリラックスして受けて頂くのが、笑気麻酔鎮静法です。
鎮静作用に加えて鎮痛作用を持っております。
リラックスすると共に痛みも感じにくくもなります。低濃度の笑気ガスと高濃度の酸素を混合し、鼻から注入します。
分かり易く言うと、酸素カプセルに入っているような感覚になります。効果はすぐに現れますが、消失も早いので、診療後にはすぐに抜けてしまいます。
笑気麻酔鎮静法を行った治療の後、お仕事や車の運転などにも差し支えありません。